正倉院展


今までずっと気になりつつも機会がなく。はじめてです。
今年は聖武天皇の1250年目の御遠忌。聖武天皇ゆかりの品が多い。


・七条刺納樹皮色袈裟(しちじょうしのうじゅひしょくのけさ)
・鳥毛篆書屏風(とりげてんしょのびょうぶ)、
・紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく) 


、、、などなど。
後は、国家珍宝帳が10年ぶりに展示されているのも目玉なのかな。


で、まずその国家珍宝帳
あんまり書には興味のない私ですが、これには感嘆。
長い長い巻物に1行1行、丁寧に奉献の品々が記されている。
品名だけでなく、員数、形状や特徴、材質や由緒まで書かれてある。
昔の文書は、書を知らないわたしには読みにくいものが多いけれど、
この国家珍宝帳はきっちりとした楷書なので、とても読みやすい。
端正な筆致に、不思議とどんどんイメージが膨らんで
勝手に意識が奈良時代にタイムスリップ。
官吏がをさらさらさら〜っと記していく姿が、自然と想い偲ばれる。


浮かぶのは、強い意思を穏やかな微笑につつんだ能吏。
能吏なんだけど、政治より勉強が好きなタイプで政争には無頓着気味。
書物に埋もれていると、没頭して時を忘れちゃうような。
うん、そうそう、そんな人にちがいない。(妄想です。笑)


さてさて、宝物のひとつひとつも、もちろん美しいのだけれど、
そのひとつひとつを大切にしまっておくための箱や包みも美しい。
七条刺納樹皮色袈裟なんて、
袈裟を包む布、袈裟をしまう箱、その箱を包む布、まで全部が展示物。
そういう、包みにまでこだわる和人らしい感覚にうれしくなる。
そして、それがちゃんと残っていることにも。


古の人たちが、大切にきちんと残そうとしてくれたことに
これまでの永い時間を、守ってきてくれた時代時代の人々に
そして、結果的に千年以上も美しいまま残ってくれた幸運に感謝します。


ちなみに私が一番心魅かれたのは、紅牙撥鏤尺。
尺としては不正確なので、実用ではなく装飾用だったよう。
これ、ほんとにとっても美しいです。赤も模様も全てが鮮やか。
千年以上も前のものかと思うと、眩暈がします。必見。


週末はげんなりするほど混んでいますが、行く価値は十二分。