何気ないものが響くとき


昨日の『ハゴロモ』で思い出された『キッチン』
「こうだから」と具体的には説明できないのだけれど
わたしの感覚にものすごく響いた本。


書かれていることばとか 登場する人たちのキャラクターとか 
ちいさく積み重ねられるエピソードとか が
ことごとく わたしの中のある部分に ものすごくすんなりと共鳴する感じ。
わたしはわたしでいいんだ、わたしの人生を歩んでいこう、と
素直に前向きになれる。


うーん、表現難しいな。
まあともかくも、私の中ではわりと大きな存在の本。
同収録の『ムーンライトシャドウ』もすごく好き。なんでだろ??
ああ、たぶん出てくる人たちがすごく好きなんだな。きっとそうだわ。
今、気付いたや。

                                                                                                                • -

『キッチン』との出会いは、高校時代のクラスメートがきっかけ。
たぶん、卒業後たまたま再会した、特になんでもない機会にフトくれた本。
当時は『キッチン』とか吉本ばななさんとかについて、
「えー、なんか流行りモノっぽいなぁ、、」と斜に構えていたので
彼が与えてくれなかったら、きっと手に取ることはなかったなあ。


彼は、バスケット部のキャプテンで
どっちかというと生真面目に色んなことを考え込むタイプの人だった。
我がクラスは、3年間同じメンツなのに男子は2人だけ、
しかも、もう1人の男の子は、かなーり風変わりな人だったので、
全般的にまっとう、、というか普通の人である彼はきっとツライに違いない!!
と、勝手に思い込み、そして、よくわからない正義感でもって
「これは私がトモダチでいてやらねば!!!」とか意気込んでたっけ。
(当時は相当おせっかいさんだったのねぇ。。。)


そうやって、がんばたってみたわりには、
ちゃんと通じあえていたのかどうなのか?!?! ハテサテ??
今となっては記憶もどんどん曖昧に。。(笑)
ただ、学生時代の記憶がどれだけあやふやになってしまっても
「この本を与えてくれた」というその1点で
たぶん、わたしは彼を忘れないだろうな、と思うのです。


そう思うと、なんだかすごいよね。
フトした(たぶん)思いつきの贈り物が、
本人の意図を超えて、相手のすごく心深いところに響いちゃったのだ。


こんなふうに記憶に残れるってちょっといいよね。
わたしもそんなふうに、いつか誰かの記憶に残れたらいいな。