嫌われ松子の一生


嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)

嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)


トモダチに誘われて、映画観てきました。


本読んだときは、まったく全然好きじゃなかった。
松子のあまりの転落ぶりがだめだった。
能力もあって、がんばり屋さん。そして美人。
なのに、なんでそうなるかな。。。と。


だめな(女を幸せにしない)男の人にいれあげて、
「あなたが全て」になってしまって、そして、お互いをだめにする。
男の人がちょっと利口な(小賢しい)場合は捨てられる。


これの繰返し。


誰にも起こりえることかもしれない。
どんな人生も、ううん、むしろ失敗の多い人生の方が愛おしい。
こんなにも懸命に、誰かを愛し求めることができるってすごい。
とも思うけど、
イヤイヤ、でもさ、もうちょっとしっかりしようよ、、
と、どうにも受け入れがたかった。
他人への愛の強さも、なんだか押し付けがましい感じがした。


映画もあらすじは一緒だから、
松子も付き合う男たちもやっぱりダメダメのままなのだけど、
中谷美紀(他のキャストも)の表情がよいせいか
ミュージカル風(?)仕立てがこの話にあっていたのか
全編に松子の人生への愛情が感じられるからなのか
”あぁ松子さんの人生も愛おしいな”とすんなり納得できた。
すごくうまい映画化だと思う。


中谷美紀もよかった。
40歳で元教え子と別れてから、53歳で亡くなるまで、
松子さんはちゃんと生きることを完全に放棄してしまう。
部屋の中はゴミまみれ。
見た目もどんどん太って醜くなっていく。
そこがね、本を読んだときには、すごく違和感だったの。
松子さんなら、また新しい誰かを愛して同じことを繰り返す方が
リアリティあるんじゃないかな、と。


でも、元教え子の彼に見せた決意の表情が、
本当に息のむほどきれいで(ある意味ちょっと危ない感じ)、
ああ、これに破れたらあかんくなるかも、、と納得させられた。
中谷美紀、すごい。今まで思ったことなかったけど。


最後、今までの人生のシーンが走馬灯のように流れる。
それが、中谷美紀の女優としての戦いの軌跡みたいに感じられて
なんだかジーンとしてしまった。(あ、ポイントちがうな。)


これは秀作だと思います。
でも、やっぱり哀しいから、2回観たくはないけどね。