ゲド戦記2 こわれた腕環
2巻はゲドの登場は中盤から。どちらかというと
「名なき者たち」に捧げられた墓所の巫女アルハのお話が中心。
1巻からの伏線もちらほら。
ゲドは、1巻でそれとは知らずに得た
「エレス・アクベの腕環」のもうひとつの片割れを求めて
アルハのいるアチュアンの墓地に侵入する。
アルハは墓地への侵入者、盗人のはずのゲドをなぜか助けてしまう。
そして、ゲドに失ったはずの名前を見出され、本名テナーを取り戻す。
墓所を去り自由に向けて歩を踏み出す決意をする。
けれど、6才から墓所のみを自分の世界とし、
「名なき者たち」に仕える大巫女としてのみ生かされてきたテナーにとって、
それはものすごくこわい、重いこと。
恐れ、迷い、何度も引き返そうとしては、また思い直して前に向かう。
私としては、1巻の方が感じ入るものが多かったです。
話が自分自身から少し遠いのかも。腕環の重要性もあまりピンとこないし。
以下、1巻のおさらいもついでに。
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ことばは沈黙に
光は闇に
死は生のなかにこそあるものなれ
飛翔せるタカの
虚空にこそ輝けるごとくに
(プロローグ『エアの創造』より)
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才能あふれる魔法使いの少年ハイタカ(本名ゲド)は、
学友に自分の力を見せつけたい、ただ、それだけのために、
死の国の「影」を呼び起こしてしまう。
そして、肉体にも精神にもふかい深い傷を負う。
でまあ、どうにかこうにか立ち直って、後始末をつけにいく。
放ってしまった「影」に、立ち向かえるようになるまでの過程に
物語の大半が費やされる。
少年が自分を知り、世界を知り、なすべきことを知る、成長のお話。
プロローグの思想は、全編とおして繰返し語られます。
それは2巻も同じ。
沁みたシーン&ことば(うろ覚え)
○賢人のことば
「若いころはなんでもできると思っていた。
だが、力を持ち知識が豊かになっていくほどに、その人間のたどるべき
道は狭くなる。
そして最後には、人はなさねばならぬことだけをするようになるのだ。」
○カラスノエンドウがゲドに本名を教えるところ
心身ともに、そりゃもうどん底のゲドに、友人カラスノエンドウが
自分の本名を教える。
魔法使いにとって本名を知らせるということは、すべてを与えること。
傷つき、自信もなにもないゲドに、これ以上ない友情と信頼の証。
○ハヤブサになったゲドが師匠オジオンのもとに帰るところ
ハヤブサに変身して「影」から逃げるうちに、精神もハヤブサ化したゲド。
自分自身ではもう元に戻れない。
でも、無意識のまま、師匠オジオンのもとへ飛び帰る。迎えるオジオン。
オジオンに本名を呼ばれ人間に戻るゲド。
ここにかぎらず、オジオンとゲドのシーンはとてもいい。