わたしを離さないで
FIGAROで紹介されているのを見てから狙っていた本。
カズオ イシグロさんの本は初めて読みました。
![わたしを離さないで わたしを離さないで](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/4158Y78AT3L._SL160_.jpg)
- 作者: カズオイシグロ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/04/22
- メディア: 単行本
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「提供者」として宿命づけられた人びとの記憶。
ラストに向かうにつれて
予感は確信に 哀しみはいよいよ深く 希望はかすかに儚くなっていく。
実はものすごいことを書いているのに
この本の世界には、なぜか透明なヴェールのようなものがかかっていて
わりと淡々と読み進んでしまうのです。
掴めそうでつかめなくて リアルなようで現実感がなくて。
けれど後から、少しずつ 少しずつ 重くなる。
読んでいる途中より 読み終わった直後より 今、一番心にずしーんとくる。
フィクションなのに、なんだか自分の生にも罪悪感を覚えてしまう。
この本の世界にあることは、きっと誰もが許されないと感じるでしょう。
けれど、じゃあ一体どこまでが許されるのか?という問いと対峙したとき
わたしは困り果ててしまいました。
二度読みたくはないけれど、読む価値はある本です。
この本の世界にヴェールを感じるのは、
静かで淡々とした語り口のせいもあるけれど、
日常の回想のわりに食べ物を食べているシーンがないからかな、
とフト思ったりしました。