オーデュボンの祈り


オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)


うっかり血迷ってコンビニ強盗をはたらいて
あっさりつかまった28才のシステムエンジニア
ふと迷い込んだ(というか拾われた)小島「荻島」で起きる事件。


この荻島、日本では認識されていない、という想定。
本土と行き来するのは、交易(?)してるたった1人。
他にはだれも島からでないし、基本的にだれも来ない。
独自の法、というか倫理観で動いてる。
出てくるひとびと、なんかみんなちょっとヘン。


ё 未来を見通せるしゃべるカカシ
 (ペリー来航のころ作られました)
ё 奥さんの事件以来、反対のことしかゆわなくなった画家
ё 太りすぎて動けくなった市場のおかみさん
 (ずっとお店に座ったまま。ちなみに夫婦仲はむつまじい。)


殺人とか血なまぐさい事件が起こるわりには、
なんかちょっと気が抜けるというか、結構ほわーんと進みます。
でも時折感じる奇妙な怖さがある。
ヘンさと普通さのバランスが微妙(絶妙?)で
なんだか普通にヘンさを受け入れてしまうのだけど、
ふと何かに気付いてヒヤッとしたり。


荻島(=ファンタジー)外の人間の
主人公の同級生の警官が、ちょっとありえないくらいの悪人で
荻島のヘンなひとたちよりもかえってリアリティがない、
ってところも妙に逆説的。


この著者の本はまた読んでみます。